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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2018.09.20号
東京都 実地指導の指摘件数、事例を公表
東京都は、2017年度の「指導検査報告書」を公表した。これは、実地指導結果や指摘事項について取りまとめたもので、適正な事業運営の一助となるようにと具体的な指摘事例も掲載している。
介護保険施設・事業による介護報酬の返還額は、1億2,396万円で、前年度より1,577万円減少。しかし件数は、前年度137件に対し、257件と120件増加した。
介護保険在宅サービス事業では、全体の3.9%に当たる767事業に対して実施指導が実施された。
訪問介護事業(介護予防含む)では、実施指導が行われた62事業のうち、22事業が何らかの文書指摘を受け、そのうち8事業が「勤務体制を確保すること」について、6事業が「介護報酬の適正な算定」について、5事業が「サービス提供責任者の配置」について指摘を受けた。
通所介護事業(介護予防を含む)では、実地指導が行われた162事業のうち、35事業が何らかの文書指摘を受け、そのうち15事業が「介護報酬の適正な算定」について、10事業が「人員基準を遵守した職員配置」について、7事業が「建物設備等の適正な管理」についての指摘を受けた。
居宅介護支援事業では、実地指導が行われた21事業のうち、13事業が何らかの文書指摘を受け、そのうち6事業が「秘密保持のための必要な措置」について、4事業が「専門的見地からの意見」について、4事業が「モニタリング結果の記録」について指摘を受けた。
介護保険施設は、全体の38.9%に当たる178施設に対して実地指導が実施された。最も指摘が多かったのは、「介護報酬の算定等について、誤り(不備)があるので是正すること」についてであった。
なお、介護報酬の請求や介護給付等対象サービスに不正が疑われる場合には「監査」が実施され、「監査」の結果、虚偽の指定申請や不正請求などの不正が判明した事業者には、「指定の取消し」等の処分や「改善勧告」が行われるが、2017年度に「監査」や「処分」が行われた事業所はなかった。
軽減税率対策補助金の申請等に当たっての注意喚起
経済産業省・中小企業庁は、「軽減税率対策補助金」の申請等で間違いや不適切な申請案件が増加しているため、注意喚起を行っている。
同補助金は、平成31年10月の消費税率10%への引上げと同時に、飲食料品(酒類・外食を除く)および一定の新聞を対象とした軽減税率制度が導入されることに伴い、複数税率の対応が必要となる中小企業・小規模事業者が複数税率対応レジの導入等や、受発注システムの改修等を行った場合に、その経費の一部を補助する制度。
現在までに約7万以上の事業者が同補助金の交付を受けているが、公募要領や申請の手引きなどをよく読まずに申請して却下されるケースや、不適切と思われる申請案件が多くなったことで、同補助金事務局の手続が煩雑となり、補助金の審査や支給に支障をきたしていることから、注意喚起が行われた。
また、補助金交付済みの案件に対しても、公募要領を満たしているか等について現地調査をしており、不正が疑われる案件を発見した場合は、補助金の返還とともに、代理申請者は指定を取り消すことや、補助金により購入したレジ等の適正な使用を呼び掛けている。
なお、複数税率対応レジの導入等支援(A型)の対象は、「レジを使用して日頃から軽減税率対象商品を販売しており、将来にわたり継続的に販売するために複数税率対応レジの導入または改修が必要な事業者」であるが、次のような不適切な申請案件の例が挙げられている。
・理美容院、エステ、クリーニング店や楽器店などにおいて、米、水やチョコレートなどの飲食料品を一時的に仕入れた証拠書類を提出して補助金を申請していたが、現地調査で実際には軽減税率対象商品の販売をしていなかった。
・ 飲食店において、メニューの一部の持ち帰り(軽減税率対象商品)ができる旨を掲示した証拠(写真等)を添付して代理申請者経由で補助金の申請をしていたが、現地調査では掲示が外されており、持ち帰りはしていなかった。
・ 軽減税率の対応のレジとして使用するために申請したレジ(はかりレジ)が、実際にはレジとして使用しておらず、計量やラベル印刷のみの機能で使われていた。
・ 軽減税率の対応のレジとして使用するために申請したレジ(セミセルフレジ)が、実際には支払い機能(精算)のみで使われていた。
・ 軽減税率対象商品を販売していない事業者に対して、「飲食料品を販売すれば補助金がもらえる」としてレジ等を売りつけるケースがあった。