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会計区分・介護会計
会計基準は指導対象となります。また、実地指導の事前提出書類の一つ「自己点検シート」にも記載されている事項です。
守らないと運営規定違反にあたり、最悪の場合指定の取り消しもあり得ますので注意が必要です。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 (平成11年3月31日 厚生省令第三十七号 最終改正:平成24年3月30日厚生労働省令第五三号) |
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・(会計の区分) 第三十八条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。 |
指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準 (平成18年3月14日 厚生労働省令第三十五号 最終改正:平成24年3月30日厚生労働省令第五三号) |
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・(会計の区分) 第三十六条 指定介護予防訪問介護事業者は、指定介護予防訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定介護予防訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。 |
上記は各サービスに準用規定されます。
介護事業には他とは異なる会計基準があります。
上記の省令をまとめると、次の2つ両方を行わなければならないということです。
@ 事業所又は施設単位で経理を区別する。「本支店会計」
A 同一事業者が介護保険給付対象の事業とそれ以外の事業を行っている場合、又は複数の給付対象事業を行っている場合は、
それぞれの事業毎に区別する。「部門別会計」
たとえば、
@の「本支店会計」は、
港区と品川区に訪問介護事業所がある場合、経理を一本にまとめるのではなく、別々に行わなければなりません。
Aの「部門別会計」は、
2つのサービスを行っている場合、水道代等も分けなくてはなりません。
また、厚労省は、事業所又は施設単位で経理が区分されることを前提としつつ、同一事業者が介護保険の給付対象事業とそれ以外の事業を行っている場合、
又は複数の給付対象事業を行っている場合について、それぞれの事業毎に区分が想定される科目及びその按分方法並びに様式についての参考例を示しています。
厚労省が示している会計基準の前提
(1)福祉系サービスについては、
社会福祉法人会計基準、又は指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針等を基本として、各事業所ごとの
収支状況等に関する内容を明らかにすること。
(2)医療系サービスについては、
病院会計準則、介護老人保健施設会計・経理準則及び指定老人訪問看護の会計・指定訪問看護の会計・経理準則等を基本として、各事業所ごとの
収支状況等に関する内容を明らかにすること。
(1)及び(2)とは別の会計基準等の適用を受けている事業主体の場合は、当該会計基準等を基本として各事業所ごとの収支状況等に関する内容を明らかにすること。
運用基準を満たす会計処理方法の例
<会計単位分割方式>
施設または事業拠点毎かつ介護サービス事業別に独立した仕訳帳及び総勘定元帳を有する。収支及び損益に関する計算書類(損益計算書・収支計算書・正味財産増減計算書)、
貸借対照表も事業拠点別に作成。
<本支店会計方式>
事業拠点毎かつ介護サービス事業別に会計処理。貸借対照表の資本の部(純資産の部)は分離せず、本店区分だけ存在させる。本部あるいは他の事業拠点間の取引は、本支店勘定
(賃借勘定)で処理。
<部門補助科目方式>
勘定科目の補助コードでサービス事業毎に集計。貸借対照表は介護サービス事業別の区分をしないで、収支及び損益に関する計算書を区分。
<区分表方式>
仕訳時に区分せず、計算書類の数値をそれぞれの科目に応じて按分基準を設け、配分表で介護サービス事業別の結果表を作成。科目によっては、部門補助科目方式を併用する。
按分方法
給与費 | 勤務時間割合により区分。 困難な場合は次の方法で按分: 職種別人員配置割合、看護・介護職員人員配置割合、届出人員割合、延利用者数割合 |
材料費 (介護用品費、医薬品費、 施設療養材料費等) |
各事業の消費金額により区分。 困難な場合は次の方法で按分: 延利用者数割合、各事業別収入割合 |
(給食用材料費) | 実際食数割合により区分。 困難な場合は次の方法で按分: 延利用者数割合、各事業別収入割合 |
(その他の材料費) | 延利用者数割合により按分。 困難な場合は次の方法で按分: 各事業別収入割合 |
他 | 詳しくは、老振発第18号を参照ください |
(参考資料)
−「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」
平成13年3月28日 厚生労働省老健局振興課長(老振発第18号)
−「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」等の一部改正について
平成24年3月30日 厚生労働省老健局振興課長(老振発0330第1号)
会計基準は指導対象となります。また、実地指導の事前提出書類の一つ「自己点検シート」にも記載されている事項です。
守らないと運営規定違反にあたり、最悪の場合指定の取り消しもあり得ます。最近、会計区分の実地指導が増えているため、まだ対応出来ていない介護事業所は
早急に改善する必要があると言えます。
また、介護事業に詳しくない会計事務所に経理を任せている場合、介護会計のことを知らずに処理しているケースが多くあります。売上が分かれていても経費は
一本になっていたりする場合もありますので、「経理は会計事務所に任せているから大丈夫」と思っている介護事業所も今一度ご確認されてはいかがでしょうか。