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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2018.04.20号
混合介護の方針が明らかに
「介護保険サービス」と「保険外サービス」を組み合わせた混合介護は、介護保険サービスと保険外サービスが明確に区分されており、利用者等にあらかじめ内容を説明し同意を得る等を条件に、提供することが認められている。しかし、ルールの具体的な運用については、明確で一覧できるものがなく、地方自治体の助言・指導もまちまちで、保険外サービスの提供の障壁になっていた。
現在、厚労省は混合介護のルールの在り方の検討・整理を行っており、未来投資会議構造改革徹底推進会合でその方針が示された。
通所介護については、提供中の利用者に対し、通所介護を一旦中断した上で、事業所内での理美容、巡回検診、予防接種を行うことや、物販、移動販売、レンタルサービス、買い物代行サービス等が介護保険外サービスとして提供が可能となる。その際には、以下等のルールを遵守する必要がある。
・両サービスを明確に区分し、文書として記録。
・利用者等に対し、あらかじめサービス内容を説明し、同意を得ていること。
・通所介護の利用料とは別に費用請求。通所介護の提供時間には保険外サービスの時間を含めない。
・保険外サービスを提供する事業者からの利益収受を禁止。
・消費者からの苦情・相談窓口の設置
訪問介護についても、訪問介護と保険外サービスの区分の明確化、保険外サービス内容を文書として記録する、利用者に対しあらかじめ文書で説明し同意を得る、ケアプラン等に記載する、等のルールを明示。しかし、利用者分の食事と同居家族分の料理を同時に料理すること等の「同時一体的な提供」については提供不可であると示された。
民法(債権関係)改正は平成32年(2020年)4月施行
今国会には、成人年齢を18歳に引き下げるとともに、結婚できる年齢(婚姻適齢)を男女とも18歳以上に統一することなどを盛り込んだ「民法の一部を改正する法律案」や、相続開始時における配偶者居住権の創設をはじめ、遺産分割前における預貯金債権の仮払い制度の創設、自筆証書遺言の方式の緩和、遺留分の減殺請求権の金銭債権化など、相続関係の見直しを盛り込んだ「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」が提出されている。
民法のうち、契約等に関する基本的なルールを定めた債権関係の改正法については昨年5月に成立しており、一部の規定を除き、平成32年(2020年)4月1日から施行されることになった。多くの見直しが行われるが、主な改正事項は以下のとおりである。
【消滅時効に関する見直し】
・ 債権者が一定期間権利を行使しない場合に債権が消滅する「消滅時効」について、職業別の短期消滅時効(飲食代金は1年、弁護士報酬は2年、医師の診療報酬は3年など)を廃止し、消滅時効期間を原則として5年にする。
・ ただし、債権者自身が権利を行使できることを知らないような債権については、権利を行使することができる時から10 年とする。
【保証に関する見直し】
・ 事業用融資の保証人に個人がなろうとする場合について、公証人による保証意思確認の手続を新設し、保証人になろうとする者は自ら公正証書で保証債務を負う意思を表示しなければ保証契約は無効とされる。
・ ただし、⑴主債務者が法人である場合の理事や取締役、執行役、議決権の過半数を有する株主等、⑵主債務者が個人である場合の共同事業者や主債務者が行う事業に現に従事している主債務者の配偶者については、適用されず意思確認は不要。
・ 事業上の債務(事業用融資に限らない)の保証人になることを個人に依頼する際に財産状況等を提供するなど、主債務者による保証人への情報提供義務を新設する。
【法定利率に関する見直し】
・ 契約の当事者間に貸金等の利率や遅延損害金に関する合意がない場合に適用される「法定利率」について、年5%から年3%に引き下げる。
・市中の金利動向に合わせて法定利率が自動的に変動する仕組みを新たに導入する。
【ルールの明文化】
・ 認知症などにより意思能力(判断能力)を有しない者がした法律行為(契約など)は無効であることを明記。
・ 賃貸借に関するルールについて、⑴敷金は賃貸借終了時に賃料などの債務の未払分を差し引いた残額を返還する、⑵借主は通常損耗や経年変化について原状回復をする必要はないことを明記。