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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2018.03.20号
介護職員による虐待 過去最多
厚労省は、2016年度の高齢者に対する虐待の対応状況を公表した。この調査は平成19年以降、毎年行われている。
介護職員による虐待と判断された件数は、前年度より10.8%増の452件。相談・通報件数は同5.1%増の1,723件にのぼる。虐待判断、相談・通報件数ともに、調査開始以降、過去最多であった。
相談・通報者は1984人で、「当該施設職員」が23.4%と最も多く、次いで「家族・親族」が17.6%。
虐待の発生要因は、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が66.9%と最も多く、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」24.1%、「倫理観や理念の欠如」12.5%と続く。
虐待の事実が認められた452件の施設・事業所のうち、117件(25.9%)は過去に何らかの指導等(虐待以外の事案に関する指導等を含む)を受けており、過去にも虐待が発生していたケースは20件あった。
虐待の種別では、「身体的虐待」が65.5%で最も多く、次いで「心理的虐待」27.5%、「介護等放棄」27.0%。
虐待を受けた高齢者のうち、「身体拘束あり」は38.3%であった。
認知症との関係は、入所系施設では、認知症があり「自立度Ⅳ/M」の場合、身体的虐待を受ける割合が特に高い。
ケアマネ登録消除要件が見直し
9日に閣議決定された法案に、ケアマネの登録抹消要件の見直しが盛り込まれた。
現行の法案では、ケアマネジャーが専門員証の交付を受けずに業務を行った場合、一律に登録が消除される。
これは、必要な研修は修了したものの、専門員証の交付申請のみを「失念した者」なども業務を行った場合は、一律に登録が取り消される。
今回の見直しでは、「情状が特に重い場合」に限り登録を消除することとなる。情状が特に思い場合の例としては、都道府県から介護支援専門員証の交付を受けるよう指示があってもなお業務を継続した場合などがあげられている。
競馬の払い戻し金に係る課税の取り扱いが変更
国税庁は、競馬の馬券の払戻金が一時所得と雑所得のいずれに該当するかが争われていた裁判の最高裁平成29年12月15日判決および東京高裁平成28年9月29日判決を受けて、所得税基本通達34.1を改正する方針だ。
競馬の払戻金に係る課税の取り扱いは、平成27年3月10日の最高裁判決を受けた改正により、馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいて、長期間にわたり機械的、網羅的な購入方法で利益を得ている場合は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として、一時所得ではなく雑所得に該当するとされたが、これに続く改正となる。
平成29年12月15日の最高裁判決では、予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組み合わせにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するためにほぼ全てのレースで馬券を購入し、年間を通じての収支で多額の利益を得ていたことから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費になる、と判断した。
一方、平成28年9月29日の東京高裁判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)では、馬券購入行為が長期間、継続的かつ多数回にわたる場合であっても、購入馬券の選定方法等が明らかになっておらず、一般的な馬券購入行為が連続して多数回行われたというものにすぎないことから、経済活動としての実態はなく、営利を目的とする継続的行為から生じた所得とはいえないため、一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費にならない、と判断した。
これを受けて国税庁は、「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、または予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組み合わせにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当する」として、パブリックコメントを行ったうえで改正する。