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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2017.11.05号
訪問介護の生活援助 新研修導入して人材確保へ
厚労省は1日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催。訪問介護の「生活援助」について、資格要件の緩和を大筋で了承した。
訪問介護員の資格を得るためには、130時間以上の研修を終了する等の必要がある。しかし、今後更なる人材確保が必要なことから、人材の裾野を広げて担い手と質を確保するため、「生活援助」については基準を緩和した新研修を創設。ハードルを下げた新研修を導入することで、生活援助中心型の担い手の拡大を目指す。介護福祉士等は、自立支援の機能を高めることも踏まえて身体介護を中心に担う。
また、身体介護に重点を置くなど、身体介護・生活援助の報酬にメリハリをつける提案が行われた。生活援助の報酬が引き下げられる可能性があり、介護報酬改定の焦点の1つとなっている。
その他、サービス提供責任者のうち、初任者研修課程修了者及び旧ホームヘルパー2級課程修了者は任用要件から廃止となる方向だ。現に従事している者については、1年間の経過措置が設けられる。
収支差率悪化 平均は3.3%
平成29年度「介護事業経営実態調査結果の概要」が公表された。これは、介護保険制度の改定及び介護報酬の改定に必要な基礎資料を得る目的で調査されている。
全サービスの平均収支差率は3.3%で、昨年度の概況調査時よりも0.5%マイナス。訪問介護の収支差率は4.8%で、昨年度より0.7%マイナス、通所介護は4.9%で昨年と比較して0.8%マイナスであった。
3年前の2014年に調査された前回の実態調査では、訪問介護の収支差率は7.4%、通所介護は10.6%であり、今回の調査と比較してほぼ全てのサービスについて収支差率が低下。2015年度の介護報酬のマイナス改定や人件費の上昇が要因とみられる。
財務省は介護事業所の収支差率を中小企業平均並みの2.6%にすべきとマイナス改定を求めており、厳しい状況だ。
平成28年分民間給与実態統計調査平均給与は422万円
国税庁が公表した「平成28年分民間給与実態統計調査」によると、平成28年12月31日現在の給与所得者数5,744万人(前年比1.7%増)のうち、1年を通じて勤務した給与所得者数は4,869万人(同1.6%増)で、これを男女別にみると、男性2,862万人(同1.1%増)、女性2,007万人(同2.3%増)、正規・非正規についてみると、正規は3,182万人(同1.3%増)、非正規は1,155万人(同2.8%増)である。
1年を通じて勤務した給与所得者(平均年齢46.0歳、平均勤続年数12.0年)の1人当たりの平均給与は422万円(同0.3%増)であり、男女別にみると、男性521万円(同0.1%増)、女性280万円(同1.3%増)となっている。正規、非正規の平均給与については正規487万円(同0.4%増)、非正規172万円(同0.9%増)である。
また、平均給与を事業所規模別にみると、従事員10人未満の事業所においては339万円(男性420万円、女性242万円)となっているのに対し、従事員30人以上の事業所では447万円(男性552万円、女性292万円)である。業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高く769万円、次いで「金融業,保険業」の626万円となっている。
一方、1年を通じて勤務した給与所得者の給与階級別分布をみると、300万円超400万円以下が854万人(構成比17.5%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下が796万人(同16.3%)となっている。これを男女別でみると、男性は300万円超400万円以下が522万人(同18.2%)で最も多く、女性では100万円超200万円以下が503万人(同25.1%)で最も多い。
事業所規模別の給与階級別分布をみると、従事員10人未満の事業所では200万円超300万円以下が21.0%と最も多く、次いで100万円超200万円以下の21.0%となっているのに対して、従事員30人以上の事業所では300万円超400万円以下の者が17.0%と最も多く、次いで400万円超500万円以下の者が14.8%である。
なお、1年を通じて勤務した給与所得者のうち4,112万人が源泉徴収により所得税を納税しており、その税額は9兆418億円となっているが、給与所得者数の8.9%にすぎない800万円超の給与所得者433万人による税額の合計は5兆6,445億円で全体の62.4%を占めている。