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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2017.01.20号
多くの介護サービス 収支差率低下
厚労省は、「平成28年度介護事業経営概況調査結果」を公表。この調査は、各サービス施設・事業所の経営状況を把握し、次期介護保険制度の改正及び介護報酬の改定に必要な基礎資料を得ることを目的としており、今回は平成28年5月(平成26年度決算及び平成27年度決算を調査)に調査が実施された。
その結果、介護報酬改定前の平成26年度と改定後の平成27年度の状況を比較すると、施設サービスは全てのサービスで収支差率が悪化。居宅サービスでは、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く全てのサービスで収支差率が悪化。地域密着型サービスでは、5つのサービスで収支差率が悪化し、3つのサービスで上昇した。
※収支差率=(介護サービスの収益額-介護サービス費用額)/介護サービスの収益額
一方、給与費の割合は、多くの介護サービスにおいて上昇しており、収入に対する給与費の割合は高まる結果となった。
月平均1万円相当の処遇改善を実施
社会保障審議会介護給付費分科会は18日、介護人材の処遇改善について、平成29年度より月額平均1万円相当の処遇改善を実施するため、臨時に1.14%の介護報酬改定を行うことを了承した。(介護報酬改定率1.14%のうち、在宅分0.72%、施設分0.42%)
処遇改善加算の区分は、加算(I)~(Ⅴ)となり、(Ⅰ)が新設される。加算(Ⅱ)は現行の加算(Ⅰ)、加算(Ⅲ)は現行の加算(Ⅱ)と一つずれる形となる。
新設の加算(Ⅰ)は、昇給と結びついた形でのキャリアアップの仕組みの構築について、手厚く評価を行うための区分として新設され、現行の加算(Ⅰ)の算定に必要な要件に加えて、新たに、「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判断する仕組みを設けること(就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む)」とのキャリアパス要件を設け、これらを全て満たす必要がある。
29年税制改正大綱の概要(主な個人関連)
【配偶者控除・配偶者特別控除の見直し】
●控除額38万円の対象となる配偶者の合計所得金額の上限を85万円(給与収入のみの場合150万円)以下に引き上げ、85万円超から123万円(同201万円)以下までは段階的に控除額が縮小する。
●納税者本人に所得制限を導入し、合計所得金額が900万円(給与収入のみの場合1,120万円)を超えると控除額が逓減し、1,000万円(同1,220万円)を超えた場合は適用できない。
●例えば、配偶者の合計所得金額が85万円以下の場合に、納税者の合計所得金額が900万円以下であれば控除額は38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1,000万円以下は13万円となる。
●平成30年分以後の所得税について適用。
【積立 NISAの創設】
●少額からの積立・分散投資を促進するため、年間投資上限額40万円、非課税期間20年の「積立NISA」を創設。
●長期・分散投資に適した一定の投資信託を対象とした、定期かつ継続的な方法による積立投資に限定。
●投資可能期間は平成30年から平成49年で、現行のNISAとは選択適用。
【居住用超高層建築物に係る課税の見直し】
●高さが60mを超える居住用超高層建築物(タワーマンション)について、上の階ほど床面積あたりの取引価格が高くなる実態を踏まえ、固定資産税の税額の按分方法を高層階ほど税額を高く、低層階ほど低くなるように見直す。
●1階を100とし、階が1つ上がるごとに約0.25(10/39)を加えた数値で補正。
●不動産取得税についても同様とする。
●平成30年度から新たに課税される居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用。
【国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し】
●国外に居住する日本人の被相続人及び相続人が相続開始前10年以内に国内の住所を有していた場合は、国外財産も課税対象とする。
●在留資格をもって国内に一時的滞在をしている外国人同士の相続等については、国外財産を課税対象外とする。
●贈与税の納税義務についても同様とする。
●平成29年4月1日以後の相続又は贈与について適用。