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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2016.07.05号
大阪府 「事前通知なし」で実地指導へ
大阪府は6月1日、「大阪府介護保険施設事業者等指導及び監査実施要綱」の一部を改正。虐待が疑われる場合など、事前通知したのでは日常におけるサービス提供状況等が確認できないと認められる場合には、「事前通告なし」で緊急に実地指導を行えるようにした。
今後の介護保険施設・事業所への実地指導については、あらかじめ文書等により通知する通常の実地指導に加え、必要に応じて「事前通告なし」で緊急に実地指導を行うこととなる。
昨年、大手介護事業者グループが運営する複数の事業所において、従事者による深刻な高齢者虐待が発生するなど、高齢者の入所施設等における虐待が全国的に問題化した。これを受けて、厚労省は4月1日、「介護保険施設等指導指針」の一部を改正し、抜き打ちでの実地指導を行うよう柔軟な対応を求めていた。
介護休業 常時介護の基準を見直し
厚労省は、第2回介護休業制度における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に関する研究会を開催。「常時介護を必要とする状態」の基準を見直すための判断基準(たたき台)を提示した。
育児・介護休業法における「常時介護を必要とする状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態をいう。
しかし、介護保険制度との整合性や一般の労働者・事業主による判断の容易さという観点から、「介護保険制度の要介護2以上を受けていること」を一つの基準として提示。また、要介護認定を受ける前に介護休業制度等の利用を申し出る場合や、障害がある人の場合などは、座位保持や歩行、排泄、衣類の脱着等の12項目のうち、一定数を満たし、かつ、その状態が継続すると認められること、といった判断基準の「たたき台」を提示した。
精神障害の労災支給 介護事業等は2番目の多さ
厚生労働省は、平成27年度「過労死等の労災補償状況」を公表した。これは、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について年1回取りまとめたもの。
<脳・心臓疾患の労災補償状況>
・請求件数は795件で、前年度比32件増。支給決定件数は251件で、前年度比26件の減(認定率37.4%)。
・ 請求件数の多い業種は、「道路貨物運送業」が133件で最多。「総合工事業」48件、「その他の事業サービス業」45件と続く。
・ 支給決定件数では、「道路貨物運送業」が82件と最も多く、次いで「総合工事業」16件、「飲食店」15件。
・ 年齢別では、請求件数は「50~59 歳」263件、「60歳以上」233件、「40~49歳」198 件 の順で多く、支給決定件数は「50~59歳」91件、「40~49 歳」80件、「60 歳以上38件の順に多い。
・ 1か月平均の時間外労働時間数別支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」が105件で最も多い。
<精神障害の労災補償状況>
・ 請求件数は1,515件で、前年度比59件増。支給決定件数は472件で、前年度比25件減(認定率36.1%)。
・ 請求件数の多い業種は、「社会保険・社会福祉・介護事業」の157件が最も多く、次いで「医療業」の96件、「道路貨物運送業」が69件。
・ 支給決定件数の多い業種は、「道路貨物運送業」が36件で最も多く、次いで「社会保険・社会福祉・介護事業」の24件、「医療業」23件。
・ 年齢別では、請求件数は「40 ~49歳」459 件、「30~39歳」419 件、「50~59歳」287 件、支給決定件数は「40~49歳」147件、「30~39歳」137件、「20~29歳」87件の順に多い。
・ 1か月平均の時間外労働時間数別支給決定件数は、「20時間未満」が86件で最も多い。
・ 出来事別の支給決定件数は、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」75件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」60 件 の順に多い。