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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2016.06.05号
要介護認定の簡素化を検討
厚労省は3日、社会保障審議会介護保険部会を開催。業務の負担を減らすため、要介護認定の簡素化についての論点が提示された。
要介護(要支援)の認定者数は平成27年4月現在で608万人であり、この15年間で約2.8倍に増加。このうち軽度の認定者数の増が大きく、また、認定者数の増加のペースの拡大により、市町村の要介護認定の事務量が増加している。事務負担を軽減するため、有効期間の延長を段階的に実施してきたが、さらなる見直しの必要性、要介護認定事務の業務簡素化・効率化のための方法について議論していく。
要介護認定の流れは、①市町村の認定調査員による心身の状況調査(認定調査)及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定(一次判定)を行い、次に②保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会により、一次判定結果、主治医意見書等に基づき審査判定(二次判定)を行う。この結果に基づき、③市町村が申請者についての要介護認定を行う。
キャリア段位制度 アセッサー講習受講者募集
一般社団法人シルバーサービス振興会は、平成28年度の評価者(アセッサー)講習の受講者の募集を開始した。
キャリア段位制度は、政府の「新成長戦略」(2010年6月決定)における「実践キャリア・アップ戦略」の施策として開始された。介護キャリア段位制度は、厚生労働省介護職員資質向上促進事業を活用して実施。介護現場でのOJT・評価を通じて、実践的スキルの定着を図る人材育成プログラムとなっている。
アセッサー数は11,863名(2015/11/25現在)、レベル認定者数は1,641名(5/30現在)、レベル認定見込み者数(内部評価実施中)は4,571名(5/30現在)。
政府税制調査会 欧米での調査を報告
内閣府は5月16日に税制調査会を開催。欧米での海外調査の報告が行われた。
アメリカは、日本の生活保護制度のような連邦政府による包括的な公的扶助制度はない(貧困家庭一時扶助等の生活補助は州政府が所管)。公的年金の財源は社会保障税として調達され、一定所得を限度として労使折半で負担。給付は支払った社会保障税額によって決まるが、受給中に一定以上の所得を有する者は年金が減額される。公的医療保険(メディケア・パートA)の対象者は、高齢者、障害者等に限定され、広く国民をカバーする制度がない。2011年から21年にかけて、ベビーブーマー世代が退職期に入るため、社会保障費の増大が課題。年金支給開始は66歳だが、2027年までに67歳に引き上げの予定。
カナダの公的年金は税方針の老齢保障プログラム(OAS)と社会保険方式のカナダ年金プラン(CPP)がある。OASが最低限の生活を確保、CPPが生活の安定を図る。公的医療保険(メディケア)の対象者は全国民と広く、コアとされる医療については税財源で患者の自己負担がない。2015年に保守党から自由党に政権交代。富裕層への課税強化、中間層の負担軽減を行う方針が示されている。
オランダの公的年金は、保険料負担は所得に応じて課せられるが、給付は支払った保険料ではなく加入年数によって決まる。医療保険は、短期医療の健康保険と長期医療等の特別医療費保険が存在。どちらも強制加入。若者の貧困が課題で、特に社会保険料の重課が問題となっている。2012年に年金支給開始を65歳から67歳へ引き上げ社会保険料を引き下げた。
スウェーデンは、支払った保険料に応じて給付額が決まる所得比例年金に加え、低所得者に絞った税による最低保障年金が存在。医療制度は税方式で、県の支出のほとんどが医療に充てられている。
ドイツの公的年金は職域毎の組合等が運営し、年金保険料及び連邦補助金を財源とする賦課方式。医療制度は、地区、企業単位の公法人である「疾病金庫」が保険料及び連邦補助金を財源として運営。少子高齢化により社会保険料負担が逓増している。