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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2016.04.05号
被保険者一人当たりの介護費 最大7.4万円差
3月23日に開催された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」において、平成26年度の介護費の地域差が公表された。被保険者一人当たりの介護費について、最も低い都道府県は栃木県の24.5万円、次いで茨城県24.6万円。最も高い都道府県は大阪府で31.9万円、次いで青森県の31.8万円であった。最も低い栃木県と最も高い大阪府では、7.4万円もの格差があることが明らかになった。全国平均(加重平均)は27.4万円。
また、要介護認定率では、最も低い都道府県は山梨県で14.2%、次いで茨城県の15.2%。最も高い都道府県は大阪府で22.4%、次いで和歌山県の20.7%。山梨県と大阪府では、1.58倍もの開きがあった。全国平均(加重平均)は17.9%。特に要介護2以下の認定率の差が大きく、山梨県の8%に対し、大阪府は15.2%と1.9倍の格差があった。
厚労省 介護従事者処遇状況等調査結果の概要を公表
厚労省は、3月30日に開催した社会保障審議会介護給付費分科会において、「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」を公表した。
介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅳ)いずれかを「取得(届出)している」事業所は88.5%、「取得(届出)していない」事業所は9.6%。取得(届出)した事業所において、取得状況を加算の種類別に見ると、「介護職員処遇改善加算(Ⅰ)」が75.1%と最も多い。取得(届出)した事業所において、介護従事者等の給与等の引き上げの実施方法をみると、「定期昇給を実施(予定)」が59.8%、「各種手当の引き上げまたは新設(予定)」が50.7%となっている。
加算(Ⅰ)を取得(届出)した事業所における介護職員(月給・常勤)について、平成26年と27年では平均給与額で13,170円の増であった。
また、加算を取得(届出)していない理由としては、「事務作業が煩雑」が45.4%、「利用者負担の発生」が36.7%、「対象の制約のため困難」が32.1%であった。
会社役員賠償責任保険の保険料に関する税務上の取り扱い
国税庁は、経済産業省から照会があった新たな会社役員賠償責任保険の保険料に係る取り扱いについて公表した。
会社役員賠償責任保険(D&O保険)は、会社法上の問題に配慮し、普通保険約款等において、株主代表訴訟で役員が敗訴して損害賠償責任を負担する場合の危険を担保する部分(株主代表訴訟敗訴時担保部分)を免責する旨の条項を設けたうえで、別途、当該部分を保険対象に含める旨の特約(株主代表訴訟担保特約)を付帯する形態で販売されている。
支払保険料については税務上、会社が基本契約(普通保険約款部分)に係る保険料を負担した場合、役員個人に対する給与課税を行う必要はないが、株主代表訴訟担保特約の保険料を会社が負担した場合には、役員に対して経済的利益の供与があったものとして給与課税の対象となる。
このような取り扱いとなっているなか、経済産業省は昨年7月に公表したコーポレート・ガバナンス・システムのあり方に関する研究会が取りまとめた報告書において、会社が利益相反の問題を解消するために、①取締役会の承認、②社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得、を行うことで会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担できるとの解釈を示した。
これにより、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができる場合には、特約として区分する必要がなくなり、普通保険約款等において株主代表訴訟敗訴時担保部分を免責する旨の条項を設けない新たな会社役員賠償責任保険の販売が想定されることから、経済産業省が保険料の取り扱いを国税庁に照会したところ、「会社が取締役会の承認及び社外取締役を活用した一定の手続(上記①及び②)を経ることにより、当該保険料を会社法上適法に負担した場合には、役員に対する経済的利益の供与はなく、役員個人に対する給与課税を行う必要はないものとして取り扱われる」と回答した。
ただし、新たな会社役員賠償責任保険以外の保険料については、従前の取り扱いどおりとし、会社が負担した場合には役員個人に対する給与課税を行う必要がある。