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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2015.12.05号
療養病床 新たな施設類型を提示
厚労省は11月27日、「第5回療養病床の在り方等に関する検討会」を開催し、新たな施設類型の選択肢を検討した。
現行の介護療養病床、医療療養病床(25 対1)は共に長期療養の場となり、そこで亡くなる者が多いことから、新たな類型には、
・長期に療養生活を送るのにふさわしい、プライバシーの尊重、家族や地域住民との交流が可能となる「住まい」の機能
・経管栄養や喀痰吸引等の日常生活上必要なケア等の一定の医療処置や、充実した看取りやターミナルケアを実施する体制
が求められる。
そこで、新たな施設類型の選択肢として、「住まい」の機能の強化した
・医療を内包した施設類型
・医療を外から提供する、「住まい」と医療の併設類型
を示した。
また、必要なサービス提供体制の例として、具体的に、夜間・休日における当直体制、想定される中心的な状態に応じた医療に関する人員・設備、「住まい」としての構造設備をあげた。
サ高住の計画策定権限等を市町村へ移譲へ
内閣府は11月26日、サービス付き高齢者向け住宅の計画策定権限等を市町村へ移譲することを含めた「地方分権改革の対応方針(案)」を取りまとめた。
サ高住の権限移譲を成立させるには法改正が必要だが、都道府県から市町村へ権限が移譲されれば、市町村の独自の判断でサ高住の登録基準の強化や緩和が可能となり、市町村の主体的なまちづくりの推進に資することとなる。
タワマン節税に対する監視を強化
今年から相続税の基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下がるとともに、最高税率は55%に引き上げとなり、相続対策の関心が高まっているが、近年、雑誌などでも取り上げられているタワーマンションを利用した相続税の過度な節税に対して、国税庁が監視を強化している。
タワーマンション節税とは、高層マンションなどの市場価格と財産評価基本通達に基づく相続税評価額との乖離を利用して相続税負担の軽減を図る節税スキーム。
評基通に基づくマンションの相続税評価額は、「区分所有建物の価額+敷地(敷地権)の価額」で計算され、建物は固定資産税評価額、敷地は敷地全体の評価額を敷地権の割合で算出した額となるが、高層マンションほど各戸の敷地持分は小さくなるため、市場価格に対して評価額が低くなる傾向がある。
また、マンションの市場価格には眺望や日当たりといった需要が反映されるため、高層階になるほど値上がりする傾向にあるが、相続税評価額は階や方角に関係なく、同じ専有面積であれば同じ評価額になる。そのため、タワーマンションの高層階になるほど市場価格と相続税評価額との乖離が大きくなりやすく、節税効果が高いとして富裕層の相続対策に用いられるケースが増えているようだ。
国税庁は、このようなタワーマンションを利用した過度の節税が増えている事態を問題視しており、国税局に対して監視強化し適正に対応するよう指示を出している。相続財産は、評基通に定められた方法で評価することが原則だが、評基通6項には「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定められており、この6項の適用を含め対応する方針だ。
なお、これまでにも相続直前にマンションを購入し、相続開始直後に売却した事案などで6項が適用され、評基通による評価方法が否認されているが、今後、6項の適用が増える可能性も考えられるため、注意が必要だ。