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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2015.11.20号
施設での虐待防止 事前通知なく監査実施へ
厚労省は13日、施設での高齢者虐待の再発防止に関する通知を都道府県知事、市長に出した。施設での深刻な高齢者虐待が複数報告されていることから、法に基づく対応を強化するための留意事項等について示しており、再発防止に向けた取り組みの強化と周知徹底を求めている。
未然防止策として、
①養介護施設等が自ら企画した研修を定期的に実施すること、
②苦情処理体制が施設長等の責任の下、運用されること、
③メンタルヘルスに配慮した職員面談等を組織的に対応すること、
④業務管理体制を常に自主的に点検し、必要に応じ体制の見直しや運用の改善に努めること
をあげ、自治体へ指導・助言に努めるよう求めた。
また、通報、苦情等の内容が利用者の生命、身体に係る事案の場合は、「事前に通告を行うことなく監査を実施する」等、現場の状況の応じた柔軟な対応を求めた。高齢者虐待との関連が疑われる場合なども同様に事前に通知を行うことなく、実地指導を実施するよう求めている。
そのほか、社会福祉協議会、民生委員、介護相談員、自治会、NPO、ボランティア団体、家族の会など地域に密着したメンバーで構成される「早期発見・見守りネットワーク」との連携協力や、成年後見制度の利用促進と権利擁護人材の育成についても示している。
グッドデザイン大賞に電動車いす
11月4日にグッドデザイン賞の最高賞の「大賞」が発表され、WHILL 株式会社のパーソナルモビリティ 「WHILL Model A」が選ばれた。従来の電動車椅子とは一線を画した近未来的なデザインで、「車椅子」ではなく「新しい乗り物」という印象を与えるデザイン工夫がされている。4輪駆動で最大7.5cmの段差も乗り越える走破性を持ち、iPhoneのアプリを使って遠隔操作や速度設定、鍵機能など機能も実装している。
そのほか、グッドデザイン金賞には、電動義手 「HACKberry」やサービス付き高齢者向け住宅 「わかたけの杜」、2型糖尿病治療薬 「トルリシティ皮下注0.75㎎アテオス」などが選ばれた。
平成26事務年度の所得税等の調査状況と事例
国税庁が公表した平成26事務年度(平成26年7月~平成27年6月)における所得税等の調査状況によると、所得税調査は74万件(実地調査6万8千件、簡易な接触67万2千件)行われ、うち46万7千件から申告漏れ等が把握された。その申告漏れ所得金額は8,659億円(1件当たり117万円)で、追徴税額は1,008億円(同14万円)となっている。
なお、実地調査により申告漏れ所得金額の約6割を占める5,008億円が把握されており、以下のような事例があった。
【事例1】 内国法人の代表取締役であるAは、その内国法人からの役員報酬および配当のみを申告していたが、軽課税国であるX国およびY国に法人を設立し、X国の法人から支払いを受けた役員報酬を日本において申告していなかった。また、Y国の法人は事業実体のない資産運用を行っている法人であったため、特定外国子会社等合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)を適用し、その所得に課税した。
【事例2】 Bと配偶者Cは、海外にあるX銀行およびY銀行に口座を開設しており、そこで得た預金金利は申告していたが、Y銀行を介して得た債券利子は申告していなかった。また、期限内に提出された国外財産調書には、当該債券の記載がなかったため、その利子に係る加算税については、5%相当額を加算した税額を賦課した。
【事例3】 学習塾を経営するDは、消費税の免税点制度を利用するため、入塾料やテキスト代、模試代など授業料以外の収入を全て除外するとともに、授業料も生徒数を圧縮するなどして、収入金額が1千万円以下となるように操作していた。
【事例4】 アイドルのコンサートチケット等をオークションサイトで販売していたEは、複数のIDを取得した上で、本人および複数の他人名義の口座で回収し、事業の帰属を隠ぺいしており、開業以来無申告を続けていた。
【事例5】 会社員Fは、平成19~24年に金地金等の貴金属を譲渡していたが、平成24年に支払調書の提出対象となった200万円超の金地金の譲渡に係る所得のみを申告し、申告分以外の譲渡所得は申告していなかった。