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介護事業の情報紙「KAIGOニュース」2014.11.20号
同一建物減算 拡大へ
厚労省は13日、介護給付費分科会を開催し、居宅に関する審議を行った。その中で、同一建物減算について、訪問系サービスは、同一敷地内又は隣接する敷地内の建物(養護老人ホーム、サ高住等)に居住する利用者を訪問する場合、居住する人数に関わらずその利用者の報酬を10%減算。外部からの訪問系サービスは、同じ建物の利用者が1月あたり20人以上の場合、その利用者の報酬を10%減算する案を提示。
通所系サービスは、送迎を行っていない場合(利用者が自ら通う場合、家族等が送迎を行う場合等の事業所が送迎を実施していない場合)は減算の対象とする。
小規模型通所介護については、通常規模型事業所と小規模型事業所のサービス提供に係る管理的経費の実態を踏まえ、報酬の適正化が提案されている。
そのほか、通所介護で、認知症高齢者や重度要介護者を一定数以上受け入れ、かつ体制を確保している事業所を加算で評価する方向だ。
「新しい介護食品」の愛称は「スマイルケア食」
農林水産省は、これまで「介護食品」と呼ばれてきたものの範囲を、噛むこと、飲み込むことが難しい方々の食品だけでなく、低栄養の予防につながる食品、日々の生活をより快適にする食品という広い領域として捉え、「新しい介護食品」として整理し、普及させていくための検討を進めてきた。
この「新しい介護食品」を障がいのある子どもから高齢者まで幅広い方々が利用するよう、公募により愛称を募集。応募総数1091件の中から「スマイルケア食」が選ばれた。
認知症介護基礎研修(仮称)を16年以降導入へ
厚労省は10日、全国介護保険担当課長会議を開催。現在、認知症に関する介護従事者研修の研修体系及び研修カリキュラムの見直しを行っているが、新たな研修体系の一部を成すものとして、認知症の基礎知識を有していない介護スタッフが多いことを解消するため、短期間で受講できる研修(「認知症介護基礎研修(仮称)」)のプログラムを作成し、早くて2016年度以降の導入を想定していることを示した。
海外移住による税逃れ防止に「出国税」を検討
政府は、富裕層の海外移住による税逃れを防止するため、株式等の含み益に課税する方針を明らかにした。
株式等のキャピタルゲインについては、株式等を売却した者が居住している国に課税権があるとされている。これを利用して富裕層が巨額の含み益を有する株式を保有したまま、シンガポールや香港などのキャピタルゲイン非課税国に出国し、日本国内における譲渡所得等に対する税負担を回避することが可能となっているのである。
キャピタルゲイン非課税国で永住権を持つ日本人は増加傾向にある。外務省によると、平成25年10月時点でシンガポールに1,852人(平成8年と比べて2.3倍)、香港に2,151人(同2.1倍)、ニュージーランドに8,444人(同3.4倍)、スイスに4,719人(同2倍)と、4ヵ国に限っても1万7千人を超える。
そのため、一定以上の資産を有する富裕層の出国時における未実現のキャピタルゲイン(未実現利益)に対する、譲渡所得課税の特例を租税回避防止措置として位置づけ、日本における対応を検討するとしている。
このような出国時に未実現のキャピタルゲインに対する特例的な課税措置等は、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、カナダなど、先進諸国の多くで講じられているが、未実現のキャピタルゲインに課税する場合は、納税資金が十分でない可能性もあることから、延納制度や納税猶予制度も設けられている。また、一部の国では、出国後一定期間内に株式等を売却せずに帰国した場合、特例に係る課税を免除する制度もある。
財務省は、国外に移住し、居住者となる者の出国時における未実現のキャピタルゲインを課税対象とするドイツ、フランス、カナダの導入例を参考に、早ければ平成27年度税制改正に盛り込む方針だ。